「海外の(庶民向け)市場と、日本のスーパーマーケットの違いは?」と言いますと、「売り方の違い」が一番大きいと思います。
我が国では、きちんと大きさ、量を揃えた「パック売り」が主流なのに対して、海外の殆んどの国では「量り売り」が一般的です。もっと分かり易く言いますと「パック売り」では、容器にピタリと入る同じサイズの、真っ直ぐな食材ばかりで、曲がったキュウリや人参は(畑で捨てられ)見かけませんが、海外の市場では、サイズも形もバラバラで並んでいますので「量り売り」するしかなく、多少の傷みも気にせずに売られていますが、皆様は、どちらの売り方がベターだと思われますか?
一見すると、「パック売り」の方が便利で機能的だと思われるかもしれませんが、農産物は、自然の中で栽培された物ですから、サイズも形も色々あって当たり前だと思いますし、曲がった野菜も同じ味で、食べられない物ではないわけですから、捨ててしまわずに「無駄なく食べること」が、自給率の低い我が国にとりまして、とても大切な事だと思います。もちろん、世界中の消費量が急増している魚介類などの水産品に対しても同じことが言えます。
私が修行をしたフランス・リヨンの高級レストランでも「曲がっていれば、カットして使う」とか「大きければ半分に切って使い、小さければ2つ付ければいい」という考え方が「常識」で、同じテーブルのお客様同士のお皿でさえ、「盛り付け数が違う」ということがよくありました。料理長も、「量的に同じにしなさい!」と大声で指示していたのを思い出します。
これが、我が国ではどうでしょうか?例えば、「幕の内弁当」のおかずの数、大きさが違っていたら、大問題になるでしょうね(笑)美意識の問題なんですかね?
でも、この基本的な事だけは忘れてはならないと思います。「人間は、自然の摂理の中で、自然の食べ物(命)を頂くことで「生かせて頂いている」のですから、命ある食べ物を粗末にしたり、工業製品と同じ様に規格だけで扱ってはいけない」ということを。
パレルモの市場でも、サイズ、形はバラバラながら「新鮮で生命力に満ち溢れた、農・水産物」が、手際の良いお店のおじさん達により、小気味良いテンポで「量り売り」されており、その名調子に釣られて私もつい買い過ぎてしまいました(笑)