辻調理師専門学校の同窓会誌「コンピトゥム2011」に紹介されました
10月に入り、朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたが、みなさまは、如何お過ごしでしょうか?
私の母校、大阪・阿倍野にあります辻調理師専門学校には、卒業生のネットワーク「コンピトゥム」という会がありまして、年に一度、学校や卒業生の動向もふんだんに盛り込まれた情報誌「コンピトゥム」が発行されます。
毎年「我々の仲間が、どんなお店をオープンさせた」とか「海外のどこで頑張っている」とかいう貴重な情報を、この本で知ることが、とても楽しみであり、良い刺激になるのですが、今年は「料理のチカラ」という表紙のタイトル通りに「今、料理と料理人に出来ることは何かを考えること」が、最大のテーマでした。
私も、海外を含めた全国に何万人といる卒業生の代表として、紹介して頂きまして、とても有難く光栄に思っています。
早速、誌面の写真と本文を御紹介させて頂きます。
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<コグレの代表的料理で、チカラのある一品は・・・>
季節野菜15種類と帆立貝・才巻海老で作った特製テリーヌ 和風コンソメゼリー添え
<本文>
この「テリーヌ」は、私が「出張料理人」として独立した20年前から今日に至るまで、試行錯誤しながら「人気定番メニュー」として作り続けている、私の分身のような料理のひとつです。「テリーヌ」と言いますと、つなぎに生クリームや動物性の脂肪を使うのが一般的ですがこの料理では、少量の卵を除いては、一切の動物性の脂肪を使っていません。
出張料理を始め、全国津々浦々の一般家庭に伺うようになりますと、レストランにいては経験することのないような「厚い壁」にぶち当たります(笑)。
いわゆる一般的なクリーム・バターをふんだんに使ったフランス料理だけでは通用しないことが、目の前で御客様の反応がストレートに分かる出張料理を始めてよく分かりました。
特に、私の出張料理の御客様は、年齢層も高いために、定番のリッチなフレンチでは、メインディッシュに辿り着くまえにギブアップされてしまうのです。満腹というよりも、普段食べ慣れていない動物性の脂肪が、喉もと辺りで引っかかってしまう感じなのでしょうね(笑)。そこで、私は、色々と考え、フレンチの技法・方程式は、そのままに、食材や調味料を和風にするようにしたのです。ただ、ハレの日の御食事ですから、やはり、食後の満足感は欲しい。「では、何を使えばよいのか?」丁度、その頃、イタリア・シシリアの名門オリーブ園から、御招待して頂き、現地で世界最高レベルのオリーブオイルに出会う機会に恵まれました。オリーブは「永遠の命の象徴」であり、その生命力に満ちた植物性のオリーブオイルを隠し味に使うようになりますと、日本全国の老若男女、あらゆる世代の皆様に受ける「新しい味わい」が誕生致しました。オリーブオイルは、それ自体が持つ力で、淡白な素材の美味しさ、持ち味を充分に引き出してくれるのです。
その典型が、このテリーヌでして、15種類の野菜や帆立貝、才巻海老は、それぞれ和風の出汁で丁寧に煮ておき、オリーブオイルでマリネしてから型に詰めます。手間暇は、かなりかかりますが、素材に愛情を込めることで生まれる「料理の力」をパワーにして、これからも全国の皆様に笑顔をお届け出来るように頑張ります。
辻調理師専門学校の同窓会誌「コンピトゥム」には、卒業生の
動向が満載です。ちなみに、表紙の写真は、昭和30年、家族
連れで賑うデパートのレストラン風景です
私も、第一線で活躍中の「辻調を代表する先輩方」と一緒に紹介して頂き、とても光栄です
私の「チカラのある料理」の象徴は、「季節野菜15種類の和風テリーヌ」です
クリーム・バターを使わずに「ヘルシーな和風仕立て」に作るのが
プロの技であり、ポイントです
この記事を見て、疎遠になっている仲間から近況報告が入ることを期待しています(笑)