みなさん、まだまだ寒さ厳しい週末ですが、如何お過ごしでしょうか?
この度、小学校の道徳の授業で先生方が使用する道徳副読本「道徳と特別活動・2014年3月号」に、「今、君たちに伝えたいこと<天職>」と題したエッセイを掲載して頂きました。全文を御紹介させて頂きますので、読んで頂けたら有難いです。
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私は、生まれた時から大きくて、母乳もすぐに飲み干し、野菜がたっぷり入った離乳食も、本当に良く食べたそうです。幼稚園に入る頃には、同い年の誰よりも頭一つ分以上、縦横共に大きくて、制服等は「特注するのが当たり前」でした。とにかく、小さい頃から良く食べましたので、小学校に入る頃には「超肥満児」でして、運動神経が鈍く、体育の授業や運動会が大嫌いでした。走れば、いつもビリですし、跳び箱は怖くて飛べない、逆上がりも重くて出来ない・・・。今、思い出すだけでも、本当に辛く恥ずかしい思い出ばかりが蘇ります。当然、女の子にもモテませんし、コンプレックスの塊でした。
そんな私が大好きだったのが、「給食」と「図画工作の時間」でした。給食では、私が高学年になった頃から脱脂粉乳に代り「牛乳」が毎日出たのですが、中には、飲めなくて困っている友達も何人かいました。そんな時には、私が代りに飲んであげたり、食の細い友達の分を食べてあげたりして「感謝される醍醐味」を子供ながらに味わっていました。
「図画工作」につきましては、私の祖父が、左利きで、腕の良い墓石職人だったそうなのですが、どうやら、隔世遺伝で、私も左利きです。絵を描いたり、彫刻を掘ったりするのが大好きで、何度も、コンクールで入賞していました。
そんな私の小学生時代ですが、「人生を左右する出来事」が、今から40年以上前の5年生の時にあったのです。それは、今でもはっきりと覚えていますが、一番最初の「家庭科の調理実習」で「目玉焼き」を作り、たまたま上手に出来て、クラス全員の前で先生に褒められたのです。「はい、みんな!小暮君の目玉焼きを見本にするのよ!」その瞬間、全身に鳥肌が立つ程感激したのを忘れません。おそらく、みんなの前で褒められたのは「人生初」だったものですから、あまりにも嬉しくて「よし!ボクは、一流のコックさんになって、みんなに美味しい物を食べさせてあげるんだ!」と、固く決心してしまいました(笑)。その時の嬉しさと感動を胸に頑張り続けて、ここまで来ましたので、「子供達には、良いところを徹底的に褒めて、才能を伸ばしてあげることが大切なのだ」と、つくづく思いますね。
私は、自分が好きなことを仕事に出来て、本当に幸せ者だと思います。まさしく、家庭科の授業で褒められて「天職」に巡り合えたのですね。これからの日本を担う大切な財産である子供達には、心から楽しいと思える仕事、自分にしか出来ない仕事である「天職」に就けるように応援してあげたいものです。
最近、全国の小学校に伺い、「キャリア教育授業」をさせて頂く機会が増えてきました。詳しくは、私のオフィシャルホームページ(http://www.kogure-t.jp/)を御覧頂きたいと思いますが、子供達を前にして、心配に思うことがあります。それは、簡単に言ってしまえば「食の乱れ」なのですが、我々人間は、自然の摂理の中で「命ある物を頂き、命を繋いで来た」はずなのに、「工業製品化している命の無い食べ物、飲み物」が世の中に氾濫し、それを本物と思って口にしている現状です。アトピーやアレルギーをはじめ、西洋医学の常識では太刀打ちできない病気も増えていますが、私が子供の頃には、アトピーという言葉さえありませんでした。これは、どう見ても「便利な食」の影響を避けて考えることは出来ないと思います。いくら天職に巡り合えても、体が健康でなければ、前向きな発想も出来ませんし、行動を起こすことも難しくなります。どうか、御父兄を含め、子供達には、もっと「食の大切さ」を知ってほしいと思います。私は、国内外を問わず、大手食品メーカーから学校給食、病院食に至るまで、あらゆるところでメニュー開発や調理指導の経験がありますので、具体的に分かり易く「子供達の健やかな成長のために知っておきたい食の大切なこと」を、たくさんお話し出来ると思います。是非、みなさまの学校にもお伺いして、講演させて頂ける機会があれば嬉しいです。