世界を駆け巡る出張料理人・小暮 剛(NHK WORLD TVにて放送)
<スタジオ・キャスター>
自宅で本格的なフランス料理を楽しむ…高くて無理ですっ
て?
普通はそうですよね。でもシェフの小暮剛(Tusyoshi Kogure)さんに頼めば、リーズ ナブル な値段でいただけます。年間200軒の家で腕をふるう出張料理人。その情熱を支え るのは、 食べた人たちの笑顔です。 小暮剛さんは、自分自身を出前するという、出張料理人。どこへでも出かけていっ て客の望み通りのものを作ります。どんなキッチンでも調理できるように、調理器具 や皿、食材をすべて自分で用意、自家用車に積み込みます。
<小暮>
行ってきます。
この日呼ばれたのは個人のお宅。 台所を借りて早速調理を始めます。アシスタントも使わず、次々と調理していきま す。 そしてシェフ自らサービス、すべてをたった一人でこなします。小暮さんの出張料 理で、伝統的な日本家屋が本格的なフレンチレストランに変わります。 今日は85歳の女性の誕生パーティー。小暮さんはおばあちゃんにも楽しめる料理 7 品を作りました。
<小暮>
「季節のお野菜が15種類と才巻海老、帆立貝を使った和風仕立ての前菜、
テリーヌでございます。」
フランスで修業した小暮さんは、帰国後30歳の時、開業する替わりに出張料理人を 始めました。 日本のみならず世界でも料理を披露した国は70か国にのぼります。
<小暮>
「自分から出向けば全世界の人がお客様になりえるので、こういう仕事をす
るよう
になりました。」
小暮さんの料理はフレンス料理やイタリア料理を日本流にアレンジしたもの。和風 の調味料やだしを合わせたり、こってりしたバターやクリームの代わりにオリーブオ イルを使い、日本人にも食べやすくしています。 食べやすさに加えて、自宅でくつろいで楽しめる小暮さんの出張料理は、高齢者や 小さな子どものいる家庭で重宝がられています。
<おばあさん>
「年取ったせいで、いつもはあまりよく食べられないけど、今日
はたくさん食べた(笑)」<家族>
「ものすごく食べたな!」<小暮>
「こうやって皆さんに笑顔で直接、楽しい時間をありがとうって言っ
てもらえる仕事はあまりないと思います。そうやって考えると毎日すごくいい時間を
過ごさせてもらってるなと思います。」
東京から西へ700キロ。温暖な気候に恵まれた島、小豆島に出張料理人・小暮さん が単身やってきました。 この島は、日本のオリーブオイル生産量の95%を占める一大産地。この日は、オ リー ブ農園の経営者に招かれました。 オリーブオイル・ソムリエの資格を持つ小暮さんは以前から小豆島のオリーブオ イルに注目してきました。そのオリーブオイルを使い、地元の食材で新しい料理を開 発してほしいというのが今回与えられたミッションです。
<オリーブ農園オーナー>
実をしぼっただけのエクストラヴァージンオリーブオイル。添加物を一切使わな いので、体に優しく風味にも優れています。この小豆島のオリーブオイルに合う食材 は何か、小暮さんは食材探しに出かけます。 小暮さんがまず訪れたのは130年続く醤油の醸造元。醤油は、和食を代表する調味 料です。ここでは2〜3年かけて熟成醗酵させる昔ながらの方法で醤油を作っていま す。 続いて漁師のもとを訪ねました。小豆島の周囲には豊かな漁場が広がり、良質の 魚や貝が捕れます。 地元の人たちが見守る中、できあがった料理を小暮さんが次々と披露します。
<小暮>
「今回のお料理のテーマは、すべてオリーブオイルとお醤油を一緒に使うことによって皆さんが普段食べ慣れているお料理がこれだけヘルシーでよりコクの
ある、食べやすい料理になるってことを知ってもらいたいということなんですね」
魚にはオリーブオイルと醤油をかけ、わさびでアクセントをつけています。野菜 はそのままゆがき、オリーブオイルと醤油で味付け。材料はすべてここ小豆島 産・・・ 。 ところが、できあがった料理は地元のひとが味わったこともないものでした。
<参加者1>
「同じ味付けでも、素材によって全然味が違うので、それがびっくり
しました」<参加者2>
「私が草ぬいて育てた野菜がこんなにおいしくなると思わなかった」<小暮>
「僕自身も全国世界いろいろなところに行って、そこから学ばせてもらっ
ているし、僕がもっているものを皆様にお伝えできれば、こんなにやりがいのある仕
事はないです」全世界を歩いて料理を極めてきた出張料理人・小暮さん。その経験を基に、次は あなたの家で腕をふるってくれるかもしれませんよ!
<スタジオ・キャスター>
小暮さんの料理を楽しみたければ、交通費プラス1人1万円ほどの予算でどこにでも
来
てくれるそうです。うーん、お腹が空きました(笑)