英文政府広報誌 パシフィックフレンド10月号に小暮の特集記事が掲載されました。
「お宅のキッチンお借りします・・・」店を持たないシェフの呼び名は「出張料理人」
雑誌取材&料理紹介
2022 | 『食で地方を活性化、請負人小暮剛シェフ』 月刊ガバナンス |
2021 | 『コグレ流本枯れ節レシピ』 カタログハウス |
2019 | 『栄養と料理12月号』 女子栄養大学 |
2018 | 『つくし・コラム連載』 日本介護予防協会 |
2017 | 『ふれあいケア』全国社会福祉協議会(6ヶ月連載) |
2015 | 『たのやく』 東横イン客室誌 |
『ジェイソン・ウィンターズティー情報誌・ハ—バ—ライン』 EOSコーポレーション |
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『花王ケミカルだより』 花王株式会社 | |
2014 | 『道徳と特別活動』 文渓堂 |
『in SEASON』Tネットプロ |
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2013 | 『新京成おでかけ情報誌CIAO』 新京成電鉄(株) |
2012 | 『コミサポ』 ナナ総合コミュニケーション |
2011 | 『コンピトゥム』 辻調グループ校 |
『フランスで料理修行』 Gakken | |
『自遊人』 (株)自遊人 | |
2010 | 『VOGUE』 コンデナスト・パブリケーションズ |
『自遊人』 (株)自遊人 | |
『通販生活』 カタログハウス | |
『ソロー』 カタログハウス | |
2009 | 『PAVONE』 K・Pクリエイションズ |
『TOKYO・1週間』 講談社 | |
『My Funa』 Myふなばし出版社 | |
2008 | 『コレカラ』 リクルート社 |
『さぬき野』 香川県 | |
2007 | 『SAITA』 セブンアンドアイ出版 |
LEE別冊『魚の料理自慢』 集英社 | |
『キナリ』 生協パルシステム社 | |
2006 | 別冊レタスクラブ 『おかず365日』パートT SSC出版 |
別冊レタスクラブ 『おかず365日』パートU SSC出版 | |
LEE別冊 『野菜の元気食堂』 集英社 | |
LEE別冊 『お弁当の知恵』 集英社 | |
LEE別冊 『パスタの絶品』 集英社 | |
LEE別冊 『肉料理の百変化』 集英社 | |
『プラスマガジン』ソフトバンク社 | |
2005 | 『月刊専門料理』 柴田書店 |
『3分 クッキング』 日テレ出版 | |
『エル・ア・ターブル』 婦人画報社 | |
2004 | 『NATSUKO』 TBC出版 |
2003 | 『DIME』小学館 |
『Tokyo Walker』 角川書店 | |
『Chiba Walker』 角川書店 | |
『別冊 レタスクラブ』 SSC出版 | |
『飲食店 経営』 商業界 | |
『HANAKO』 マガジンハウス | |
『Oggi』 小学館 | |
2002 | 『ベスト ギア』 徳間書店 |
『美しい きもの』 アシュット婦人画報社 | |
『はーもにー』 日本石油ガス | |
『ナトラ』 ニューズパブリッシング | |
『Tokyo Walker』 角川書店 | |
2001 | 『毎日が発見』 (株)ファンケルグループ |
2000 | 『And now』 秋田タウン情報誌 |
『マフィン』 小学館 | |
『Saita』 芝パーク出版社 | |
1999 | 『At Table』 マニュライフセンチュリー生命 |
『TANTO』 集英社 | |
『MORE』 集英社 | |
『マフィン』 小学館 | |
別冊レタスクラブ『tonton』 SSC出版 | |
『パシフィック フレンド』 英文政府広報グラフ誌 | |
『At Table』 マニュライフセンチュリー生命 | |
1998 | 『TokyoSanta』 婦人画報社 |
『メイプル』 集英社 | |
『ビジネスサポート』 東京商工リサーチ | |
『クロワッサン』 マガジンハウス | |
『おかずのクッキング』 テレビ朝日出版 | |
別冊レタスクラブ『TonTon』 SSC出版 | |
『good house Keeping』 日経ホーム | |
『FIGARO Japon』 TBSブリタニカ | |
1997 | 『ラ・セーヌ』 学研 |
『GQ Japan』 中央公論社 | |
『別冊Saita・野菜レシピ』 芝パーク出版社 | |
『LEE』 集英社 | |
『DREAM』 どりーむ編集局 | |
『HARU』 主婦と生活社 | |
『Saita』 芝パーク出版社 | |
『自由時間』 マガジンハウス | |
『すぐれもの料理道具』 日本文芸社 | |
1996 | 『幼稚園ママ』 朝日新聞社 |
『Como』 主婦の友社 | |
『料理人になるには』 ペリカン社 | |
『ゼクシー』 リクルート社 | |
『四季の味』 ニューサイエンス社 | |
『Saita』 芝パーク出版社 | |
『DIME』 小学館 | |
1995 | 『OZON』 リビングデザインセンター |
『LA』 オルビス化粧品 | |
1994 | 『marrie claire』 中央公論社 |
『大人のためのバースデイBook』 朝日新聞社 | |
1993 | 『EATS』 光文社 |
『カジュアルParty Book』 朝日新聞社 | |
1992 | 『HANAKO』 マガジンハウス |
新聞取材&料理紹介
2022 | 『北広島町の養殖サーモンを都内でPR』 中国新聞 |
『小暮シェフ鹿部町の食材探し』 函館新聞 | |
2021 | 『小暮シェフ富山湾の幸絶賛』 富山新聞 |
2019 | 『小暮シェフと奄美食材で商品開発』 南海日日新聞 |
『奄美の地域食材を使ったメニュー開発』 奄美新聞 | |
2018 | 『小暮シェフ白老町観光大使に就任』 北海道新聞 |
2017 | 「プレ金料理教室が人気』 読売新聞 |
「特別な金曜日にクッキング』 朝日新聞 | |
2015 | 『天草でオリーブ料理コンテスト』 熊本日日新聞 |
『標津風カルパッチョ大好評』 北海道新聞 | |
『日本で最も美しい村展で食材PR(そごう横浜店)』 神奈川新聞 | |
『日本で最も美しい村展で料理紹介(動画)』 神奈川新聞WEB版 | |
『延岡の食材でオリーブオイル料理』 夕刊デイリー紙 | |
2014 | 『東伊豆でオリーブ産地化』 伊豆新聞 |
『小暮さん江津中で講演』 山陰中央新報 | |
『オリーブ料理コンテスト』 熊本日日新聞 | |
2012 | 『オリーブで出張料理』 朝日新聞 |
『天草でジビエ講習会』 朝日新聞 | |
『インタビュー今週のこの人』 朝日新聞 | |
『河浦中学校でオリーブ授業』 熊本日日新聞 | |
『苓明高校でオリーブ商品開発』 熊本日日新聞 | |
『道産食品にプロの視点』 北海道新聞 | |
『オリーブオイルde精進料理』 メトロガイド | |
『福島の食材とオリーブオイルで健康に』 福島あぶくま時報 | |
『メンタルクリニックでオリーブセミナー』 宮崎日日新聞 | |
2011 | 『循環器内科でオリーブオイルセミナー』 宮崎日日新聞 |
『東京で仏手柑ドレッシングのお披露目』 高知新聞 | |
2010 | 『天草市・和食にオリーブオイルを』 熊本日日新聞 |
『四万十市・仏手柑ドレッシングの開発』 高知新聞 | |
『オリーブソムリエが椿オイルを語る』 五島新報社 | |
『椿オイルの料理活用講演会』 長崎新聞社 | |
『老神温泉で地産メニュー開発』 上毛新聞社 | |
2009 | 『地場野菜30種類で創作料理』 上毛新聞社 |
『南房総市で食育活動』 千葉日報社 | |
『美味しさアップ!洋食の定番』 信濃毎日新聞社 (毎月第3土曜日にレシピ連載) |
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『出張料理人が船橋中学校で食育講演』 千葉日報社 | |
2008 | 『地域食材でオンリーワンメニュー』 北信濃新聞 |
『鮭料理・特産品に』 福島民報新聞社 | |
『地産メニューで観光再生を』 信濃毎日新聞 | |
『オリーブオイルのソムリエに聞く』 聖教新聞 | |
2007 | 『青森で腕前披露』 陸奥新報社 |
『鳥取の地産地消 料理』 日本海新聞社 | |
『大好評の食育講演』 千葉房日新聞 | |
『食育の伝道師』 千葉日報社 | |
2006 | 『夢を持ち、いじめに克つ』 埼玉新聞 |
2005 | 『ヨン様メニュー再現』 信州日報 |
『食を通して世界平和を』 サンケイ新聞 | |
2003 | 『高級サンドイチ 好調』 日経新聞 |
2002 | 『かんたんブランチ』 女性新聞社 |
2001 | 『うならせます出張料理』 山形新聞社 |
『出張シェフ舞鶴で腕振るう』 京都新聞社 | |
『呼ばれれば全国へ』 上毛新聞社 | |
『ユニークサービス発見』 日刊ゲンダイ | |
『ブランチ』 読売新聞社 | |
2000 | 『新潟のトリュフを使って』 長岡新聞社 |
『横手訪れ自慢の腕披露』 秋田魁新報社 | |
『青森素材ふんだんに』 東奥日報社 | |
『仙台の旬を料理』 河北新報社 | |
『郡山でも大好評』 福島民報社 | |
『出張料理人、柏埼に』 柏埼日報社 | |
『独創的でヘルシー』 大館新報社 | |
1999 | 『活躍してます』 サンケイ新聞社 |
『長野でも大評判』 信濃毎日新聞社 | |
『佐渡で腕前披露』 新潟サンケイ新聞社 | |
『ぜいたく独り占め』 山形新聞社 | |
『インタビュー』 朝日新聞社 | |
『講演会で大盛況』 千葉日報 | |
『オリーブをたずねて』 伊・シシリア誌 | |
1998 | 『食べる』 読売新聞社 |
『インタビュー・真剣勝負』 読売新聞社 | |
1997 | 『ティータイム』 朝日新聞社 |
『インタビュー』 サンケイ新聞社 | |
1996 | 『ニューファミリー』 ニューファミリー新聞社 |
1993 | 『ふなばし朝日』 朝日新聞社 |
1992 | 『ショッパー』 東京新聞 |
『サンケイリビング』 サンケイリビング社(92/10月〜93/7月) | |
『フォトフナバシ』 船橋市 |
英文政府広報誌
中華、フレンチ、イタリアはもちろん、ロシア、キューバ、ブラジル、エジプト、タイ…、いまの東京では、世界各地の料理で食べられないものはないほど、数多くの種類のレストランがある。
しかし、その一方で、日本の飲食業界は厳しい経営状況にさらされている。レストランの乱立による競争の激化と、多様な個人のニーズに応えるのが難しく、多くのレストランが現れてはつぶれて行く。
そんな時代の中で、千葉県習志野市に住む料理人小暮剛さんは、電話一本で自ら全国どこへでも駆けつける、店を持たないことで知られる有名シェフだ。 「店がないからこそ、理想の料理がサービスできる」と語る、話題の料理人の現場を追ってみた。
全てが一人の出張料理
小暮さんの今日の出張先は、東京都大田区の住宅地にあるマンションだ。依頼者の大橋純子(おおはし、じゅんこ)さんの希望は、ご主人の一周忌を、形式張らずに、親しい友人とともに自宅で行いたい、というもの。
小暮さんはいつものように地図を片手に、小型のステーションワゴンを運転してやってきた。 自動車には、食材や食器と道具一式が入った米櫃3個とトートバックが一つ積まれている。これだけで前菜とデザートを含めて5品のコース料理を作りあげる。
アシスタントスタッフはゼロ。小暮さんは一人で、テーブルセッティングから調理、料理のサービス、洗い物をこなして行く。調理の合間には、お客さんとのトークもこなし、進行を見ながら料理を順番にサービスして行く。全てが一人という、ユニークで見事な仕事ぶりに、大橋さんの招待客から、次々と質問が飛ぶ。会食は、料理の話題を中心に盛り上がり、和やかなうちに終わった。
「子どものころから料理で身を立てようと決めていた」と小暮さんはいう。将来の店の経営に役立てようと、大学で経済を勉強した後、大阪の料理学校、そしてフランスに渡り料理の修行を積んだ。「日本の料理人としては、実際に仕事をはじめるのが遅かった。ただそのお陰で、一シェフという立場に止まらず、色々な角度から料理業界を見る視点が生まれた」と小暮さんは語る。
東京のように地代が高い都市では、レストランを経営していくためには、原価を抑え、値段を釣り上げていくしかない。必然的に店が客を選び、客層が限られるようになる。料理人にしても、苦しい予算状況では、思ったような材料で料理が作れない。フランスから戻り、都内の有名レストランを転々とするなかで、小暮さんは日本のフランス料理店の限界を感じとってしまった。 そして、「これが自分の出したい料理ではない」と決意し、現在の「出張料理人」を思い立った。
「お客さんの目の前で料理する、出張料理は毎回ものすごい緊張感がある。でもレストランの厨房にいたら絶対にわからない、料理を作る人間と食べる人間の本当のコミュニケーションがある。お客様が自分の料理を心から喜んでくれると、料理人をしていて本当に良かったと思う」と小暮さんは、出張料理の醍醐味を語る。 最近東京でも、レストランが行うケータリングは増えてきているが、小暮さんの出張料理はその手のものと異なる独自のスタイルがある。
まず第一に場所や設備を選ばないことだ。調理用コンロが一つあればいい。場所によってはコンロもいらない。皿さえ洗えれば、携帯用のコンロを使って、事務所や駐車場でも本格的なコース料理を調理したこともある。 また、人数分の皿やカトラリー一式、希望によってはグラスも持参する。小暮さんに料理を頼む家庭では、調理設備ばかりか招待客の食器の心配もない。
第二に、その費用の安さである。通常ケータリングというと、高級ワインなどもセットで組まれ、さらに出張費、サービスする複数のスタッフの人件費が加算されるため、一般の家庭では、気安く頼めない金額になってしまう。それに対して小暮さんの場合は、スタッフは彼一人のみ。お酒や主食のパンやご飯類は、お客さんの好みや予算によって、自分で用意すればいい。純粋に料理だけの値段がお客さんに請求される仕組みだ。
そして三つ目には、最大の特長である料理だ。フランスで修行した小暮さんが作る料理は、フランス料理が基本になっているが、オリーブオイルをはじめ、醤油、みりんなどの和洋折衷の調味料、食材を合わせている。さらに30種類以上の野菜を使い、どのカテゴリーの料理にも入らない、彼のオリジナル創作料理だ。「男性、女性、子どもからお年寄りまでどの客層にも満足してもらいたい」と、パンやご飯、ビール・ワインや日本酒など何にでも合う味わいを工夫している。
「普通のレストランなら店ごとに客層が決まっているけれど、出張料理ではどんなお客さんが待っているかわからない。家庭には色々な年齢層の人がいるのが当たり前。フォークやナイフに慣れない人に、お箸でも食べられるようにしたり、出張料理には細かい配慮が必要なんです」と小暮さんは説明する。 レストランの大きな厨房で大勢で調理する料理人と違い小暮さんは、出張先でたった一人で料理を作る。直にお客さんの評価が返ってくる。また、店も看板もない小暮さんには、お客さんを増やすには、口コミだけが頼りだ。まさに「料理の一回、一回が真剣勝負」で、その蓄積が現在の小暮さんの料理と評価を生んでいる。
小暮さんはいま、自家製の無農薬のハーブ類を使ったり、旬の野菜や魚を食材とするなど、材料選びにこだわっている。「食べ物の安全性が話題になっているいま、便利さの一方で自然の摂理に反したものが多い。全ては無理でも、自分の作る料理で、新鮮な食材を一から手作りした本当の美味しさをお客さんに知ってもらいたい。そして健康になって欲しい」小暮さんの将来の夢は海外にもこの「食べて健康になる創作料理」を広めていくことだ。
小暮さんは、イタリアやニューカレドニアにも「出張料理」の経験がある。もし旅費を負担しても、小暮さんの料理を試したい、という読者がいたら、きっと自慢の包丁を持って小暮さんは地球上のどこでも出張してくれるだろう。
しかし、その一方で、日本の飲食業界は厳しい経営状況にさらされている。レストランの乱立による競争の激化と、多様な個人のニーズに応えるのが難しく、多くのレストランが現れてはつぶれて行く。
そんな時代の中で、千葉県習志野市に住む料理人小暮剛さんは、電話一本で自ら全国どこへでも駆けつける、店を持たないことで知られる有名シェフだ。 「店がないからこそ、理想の料理がサービスできる」と語る、話題の料理人の現場を追ってみた。
全てが一人の出張料理
小暮さんの今日の出張先は、東京都大田区の住宅地にあるマンションだ。依頼者の大橋純子(おおはし、じゅんこ)さんの希望は、ご主人の一周忌を、形式張らずに、親しい友人とともに自宅で行いたい、というもの。
小暮さんはいつものように地図を片手に、小型のステーションワゴンを運転してやってきた。 自動車には、食材や食器と道具一式が入った米櫃3個とトートバックが一つ積まれている。これだけで前菜とデザートを含めて5品のコース料理を作りあげる。
アシスタントスタッフはゼロ。小暮さんは一人で、テーブルセッティングから調理、料理のサービス、洗い物をこなして行く。調理の合間には、お客さんとのトークもこなし、進行を見ながら料理を順番にサービスして行く。全てが一人という、ユニークで見事な仕事ぶりに、大橋さんの招待客から、次々と質問が飛ぶ。会食は、料理の話題を中心に盛り上がり、和やかなうちに終わった。
「子どものころから料理で身を立てようと決めていた」と小暮さんはいう。将来の店の経営に役立てようと、大学で経済を勉強した後、大阪の料理学校、そしてフランスに渡り料理の修行を積んだ。「日本の料理人としては、実際に仕事をはじめるのが遅かった。ただそのお陰で、一シェフという立場に止まらず、色々な角度から料理業界を見る視点が生まれた」と小暮さんは語る。
東京のように地代が高い都市では、レストランを経営していくためには、原価を抑え、値段を釣り上げていくしかない。必然的に店が客を選び、客層が限られるようになる。料理人にしても、苦しい予算状況では、思ったような材料で料理が作れない。フランスから戻り、都内の有名レストランを転々とするなかで、小暮さんは日本のフランス料理店の限界を感じとってしまった。 そして、「これが自分の出したい料理ではない」と決意し、現在の「出張料理人」を思い立った。
「お客さんの目の前で料理する、出張料理は毎回ものすごい緊張感がある。でもレストランの厨房にいたら絶対にわからない、料理を作る人間と食べる人間の本当のコミュニケーションがある。お客様が自分の料理を心から喜んでくれると、料理人をしていて本当に良かったと思う」と小暮さんは、出張料理の醍醐味を語る。 最近東京でも、レストランが行うケータリングは増えてきているが、小暮さんの出張料理はその手のものと異なる独自のスタイルがある。
まず第一に場所や設備を選ばないことだ。調理用コンロが一つあればいい。場所によってはコンロもいらない。皿さえ洗えれば、携帯用のコンロを使って、事務所や駐車場でも本格的なコース料理を調理したこともある。 また、人数分の皿やカトラリー一式、希望によってはグラスも持参する。小暮さんに料理を頼む家庭では、調理設備ばかりか招待客の食器の心配もない。
第二に、その費用の安さである。通常ケータリングというと、高級ワインなどもセットで組まれ、さらに出張費、サービスする複数のスタッフの人件費が加算されるため、一般の家庭では、気安く頼めない金額になってしまう。それに対して小暮さんの場合は、スタッフは彼一人のみ。お酒や主食のパンやご飯類は、お客さんの好みや予算によって、自分で用意すればいい。純粋に料理だけの値段がお客さんに請求される仕組みだ。
そして三つ目には、最大の特長である料理だ。フランスで修行した小暮さんが作る料理は、フランス料理が基本になっているが、オリーブオイルをはじめ、醤油、みりんなどの和洋折衷の調味料、食材を合わせている。さらに30種類以上の野菜を使い、どのカテゴリーの料理にも入らない、彼のオリジナル創作料理だ。「男性、女性、子どもからお年寄りまでどの客層にも満足してもらいたい」と、パンやご飯、ビール・ワインや日本酒など何にでも合う味わいを工夫している。
「普通のレストランなら店ごとに客層が決まっているけれど、出張料理ではどんなお客さんが待っているかわからない。家庭には色々な年齢層の人がいるのが当たり前。フォークやナイフに慣れない人に、お箸でも食べられるようにしたり、出張料理には細かい配慮が必要なんです」と小暮さんは説明する。 レストランの大きな厨房で大勢で調理する料理人と違い小暮さんは、出張先でたった一人で料理を作る。直にお客さんの評価が返ってくる。また、店も看板もない小暮さんには、お客さんを増やすには、口コミだけが頼りだ。まさに「料理の一回、一回が真剣勝負」で、その蓄積が現在の小暮さんの料理と評価を生んでいる。
小暮さんはいま、自家製の無農薬のハーブ類を使ったり、旬の野菜や魚を食材とするなど、材料選びにこだわっている。「食べ物の安全性が話題になっているいま、便利さの一方で自然の摂理に反したものが多い。全ては無理でも、自分の作る料理で、新鮮な食材を一から手作りした本当の美味しさをお客さんに知ってもらいたい。そして健康になって欲しい」小暮さんの将来の夢は海外にもこの「食べて健康になる創作料理」を広めていくことだ。
小暮さんは、イタリアやニューカレドニアにも「出張料理」の経験がある。もし旅費を負担しても、小暮さんの料理を試したい、という読者がいたら、きっと自慢の包丁を持って小暮さんは地球上のどこでも出張してくれるだろう。